
老朽化したマンションを建替え、新しく住みよい環境へと生まれ変わらせていく。有楽土地はそんなマンション建替えプロジェクトも手がけてきました。まだマンションの建替え自体が数少なかった頃に、当時日本最大の建替えプロジェクトとして、住民の方々と一緒に悩み、苦労を共にしてきたのが「オーベルグランディオ萩中」です。入居から3年を経たマンションに、プロジェクト担当の竹田さんと一緒にお邪魔して、建替組合理事長(現・管理組合理事長)の北畠さんに、当時の様子や現在の暮らしぶりについて伺ってきました。

建替え前の「萩中住宅」は、1968年に東京都住宅供給公社が分譲した、8棟368戸の団地でした。何度か大規模修繕を行ってきたんですが、老朽化が目立つようになり「先々どうしよう?」ということで、1994年に建替え準備委員会を立ち上げたんです。

人間にも寿命があるように、建物にも寿命はありますから。それに早く気づいて、ケアしていかないといけませんよね。ずっと暮らしてきた街ですから、ずっとここに住み続けたいという気持ちも強かったから。それに、住環境が良くならないと地域も良くならないでしょう。たくさんの人たちが暮らすことで、まわりの商店街も潤って、地域が活性化していきますから。そのためには老朽化した団地をそのままにしておいて、いい影響はないです。1997年に事業推進コンサルタントを選んで、2001年に事業パートナーとして有楽土地さんにお願いをしたという経緯です。

そこから苦労したのは、368世帯の合意を形成するまでですね。みなさんに納得してもらって、自分たちでやろうという気持ちになってもらうために、何度も説明会をやったり、一軒一軒訪ねて行ったりもしましたよ。企業だったら、号令をかければいいんでしょうけど、個人の事情がいっぱいありますから。2002年の建替え決議では、一度不成立になってるんです。その後2003年に区分所有法が改正された後、「団地内建物の一括建替え決議」を行って、そこで92%の賛成を得て、建替えが決まりました。今になって振り返ってみると結果オーライですけども、ほんとうに、いろいろありましたね。

事業パートナーとして、デベロッパーを選ぶ時には慎重になりましたね。有楽土地さんの他にも2社ほどお話を伺っていたんです。何度もプレゼンをしてもらって、その中で、「一番住む人のことを考えてくれてる」と感じた有楽さんに、お願いすることになりました。2001年からのお付き合いですから、完成まで5年ですか。建替え中の仮住まいについても、有楽さんに、使われていない社宅を探してきてもらったりして、いろいろとお世話になりました。
当時の社長さんも何度も出向いてくれましてね。そんな風にトップがきちんとサポートしてくれて、現場のみなさんが思い切り仕事ができている。そんな風通しのいいところが、有楽さんの良さではないかと思いましたね。

一定以上の敷地面積や、空地・緑化の条件を満たして街に貢献する計画によって、制度上の優遇措置を得られるという総合設計制度を採用したこともあって、1,000軒以上の近隣の方々の了承を得る必要があったんです。そこで、私たちと、有楽さん、ゼネコンさんが一緒になって説明してまわりました。全部に了承してもらうまでに、10ヶ月ほどかかりましたか。苦労もしましたけども、街の方々にも「いいマンションになったね」なんて喜んでもらえているのを思うと、本当にやってよかったなあと思いますね。

建替えてみて一番良かったなと思うのは、新しく入って来られた人々のうち、古い建物で生まれ育って手狭になったから出ていった人、昔の萩中住宅を知っていた人が、かなり戻ってきてくれたことです。私は「ふるさと回帰」なんて言ってますけど。建替え前は平均年齢65歳だったのが、ここでは1年に30人ほどの赤ちゃんが生まれていますから。子どもが増えると、赤ちゃんを介してコミュニケーションがとれるんですよね。「あーかわいいねえ。いくつ?」なんて言ってね(笑)狭くて年配の人たちが圧倒的に多かった団地ですけども、家族で暮らせる広さになって、そういう若返りができたところが良かったですね。

出来上がってから、反対していた人を含めて、悪く言う人は一人もいませんでした。出来上がるまでは、地域でもいろいろな話が出ていたんですが、出来てからのクレームはゼロだと思います。
竹田「マンションが完成した時には、地元の糀谷商店街が歓迎の横断幕を出してくれていましたよね。あそこまでの光景は、初めて見ました」
街の人たちにも喜んでもらえたのは、私たちも嬉しいところです。マンションが売りに出ると、すぐに買い手がつくらしいんですよ。
奥に見えているのが「オーベルグランディオ萩中」です。
※左の写真は最寄の「糀谷」駅とマンションの間にある糀谷商店街
奥に見えているのが「オーベルグランディオ萩中」です。

旧地権者と新しい住民の方々とのコミュニティ形成のために特別なことはしていないんですが、自治会を中心にして行事はいろいろやってますよ。夏は中庭でこどもまつり、地域の阿波踊りや神社のお祭りにも、マンションの敷地や共用施設を提供してるんです。秋はすぐ近所の女子校のグラウンドを借りて運動会なんかもやります。冬はもちつき、消防訓練などですね。お子さんがいらっしゃる家庭は、よく行事に参加されて、そこで顔見知りになれるのが嬉しいですね。共用施設も活発に使われていて、ゲストルームやカラオケなんかは、予約でいつも一杯なんです。集会室では、ダンスや太極拳なんかもやってるみたいですよ。

ただ、うちのマンションだけではないと思いますが、昔と比べて集合住宅で一緒に暮らしていくんだよ、という意識が薄くなっているように感じているんです。共用部分で騒いでいたり、乱暴に扱ったり、そういうところを見たら注意するようにはしてるんですけども。
竹田「そういう風に注意してくれる人がいるマンションというのは、安心ですよね。同世代の親だと、ちょっと注意しづらいこともありますし。やっぱり建替えプロジェクトということで、みなさん良い住まいにしていこうという意識が高いんじゃないでしょうか。そういう意味で、お子さんの教育にすごくいい環境だと感じます」
確かにそういう面もあるかと思います。だいたい半分が新しい住民の方々ですから、これから、コミュニティを作っていくために何ができるか考えているところです。みんなこの街や住まいが好きで、集まっているわけですから。安心・安全で永く住めるマンションにしていきたいですね。
※「マンション建替えの円滑化に関する法律」に基づく開発として、開発敷地面積・計画戸数が全国最大となります。(マンション再生協議会調べ:2004年10月12日現在)